11月下旬に立石駅北口市街地再開発事業の工期が1年5か月延期することが判明しました。この再開発の東棟部分の大半は葛飾区の新庁舎になる予定で当然庁舎の竣工も同様に延期になります。ちょうど1年前に葛飾区役所の庁舎の位置を定める条例を議決し、権利変換計画の認可がおりて間もない時期にこうした事態になる事は残念です。そして最も懸念していることは建築資材の高騰や働き方改革による建築コストの上昇です。葛飾区では現在、新小岩でも再開発事業が行われてますが、工事費が293億円から356億円と1.2倍になり、総事業費も410億円から503億円に変更になり、江戸川区の新庁舎でも完成が2年遅れ、建設費が1.5倍の590億円に膨らみました。立石駅北口再開発も恐らく工事費等の増額分は恐らく概算で出ていると思いますが、一部は建築コスト上昇分の補助金が期待できるものの、基本は増額分をディベロッパー、葛飾区、権利者が負担しなければ事業として成り立たないため、公表に至らないものと思われます。また、私は今回の事態を想定して令和4年の11月の議会で質問しておりますので以下に掲載しておきますのでご覧ください。
ー小林ひとし質疑(令和4年11月29日)ー
再開発組合と葛飾区の協定書第3条第2項、資材や工事費などの物価上昇の際は譲渡予定価格の変更を協議することに関して、
①区が応分の負担を求められた場合でも上限の価格を設けるべきではないか。
②西棟においては、資材や工事費などの物価上昇の際にはディベロッパーが負担するのか。また、その際にはディベロッパーが組合と取り決めた保留床取得金額については変更する協定書は存在するのか。
③11月16日の区議会議員協議会で、権利床を取得した人にも応分の負担を求めるべきではないかという質疑に対して、街づくり担当部長は生活再建の面もあるとして権利床取得者の追加負担には触れなかったが、清算も含めていかなる場合でも負担を求めないということか。
④物価上昇で事業支出金が収入金を上回った場合の対応について、ア、葛飾区、ディベロッパー、権利者、どのような負担割合になるのか。イ、街区ごとに清算して負担を求めるのか。ウ、本区だけがリスクを負担することがないなら、残りはどこが負担するのかしっかり説明してほしい。
ー答弁ー
工藤勝己総合庁舎整備担当部長:
物価上昇により応分の負担を求められた場合の対応についての御質問にお答えいたします。組合保留床の譲渡に関する協定書第3条第2項に基づき、譲渡予定価格の変更の協議が行われる場合には、単に上限の価格を設けるといった対応ではなく、組合保留床価格が変更となる要因や再開発組合の資金計画の中でどのような調整が行われるかなど様々な観点からの分析を進めながら、再開発組合と十分な協議を重ねていくことになるものと考えております。
泉山省吾街づくり担当部長:
物価上昇の際のディベロッパーの負担等についての御質問にお答えいたします。再開発組合と参加組合員間で現在結んでいる協定書には、経済情勢の著しい変動が生じたときには、誠意を持って協議した上で参加組合員の負担金を変更できるものとしており、今後、そうした状況となった場合には、この内容に従って適切に対応されるものと認識しております。
次に、権利床取得者の追加負担や支出金が収入金を上回った場合の対応についての御質問にお答えいたします。まず、追加負担についてでございますが、清算という制度になっている以上、いかなる場合も負担を求めることは絶対にないということではございませんが、清算に当たっては事業の全体を勘案して収支の均衡を保つようにしていくと聞いておりますし、その際には、権利者の生活を最優先に考え、権利床への影響ができるだけないようにしていくと再開発組合からは聞いております。
次に、仮に支出が上回った場合についての負担割合についてでございますが、保留床を取得する区、ディベロッパーにつきましては、再開発組合と協議の上、負担割合などが決まっていくものであると認識しており、現時点で割合について決まったものがあるわけではございません。一方で、権利者、権利床の負担につきましては、応分の負担が必要であると考えられますが、先に申し上げましたように、権利者保護の観点、生活再建の観点から過度な負担は避けるべきであると再開発組合からも聞いております。また、街区ごとの考え方につきましては、街区ごとに工事費など、かかる費用を勘案して清算することとなるとのことで、区のみがリスクを負担するようなことは考えておりません。仮に支出が上回る場合には、こうした様々な要因を勘案して最終的な全体の負担が決まっていくものと考えておりますが、前提として、そのようなことにならないよう収入や支出の動きを見ながら様々な工夫をし、事業全体の収支の均衡を保っていくと組合からは聞いております。
立石駅北口市街地再開発事業の資金計画
収入金 支出金
補助金 245億円 土地設計計画費 46億円
公共施設管理者負担金 113億円 土地整備費 20億円
緊急促進補助金 10億円 工事費 696億円
保留床処分金 562億円 借入金利子 13億円
事務費 21億円
その他 17億円
合計 932億円 合計 932億円
コメント