記事

平成22年第2回定例会 一般質問

 お許しをいただき、区長並びに教育長、関係部長に、通告に従い区政一般質問を行います。
 まず、来年度開校する小中一貫校新小岩学園についてお伺いいたます。
 公立の小中一貫校は、ここ数年全国的に広がりを見せており、にわかなブームとなっております。背景には、中学1年生が学習面や生活の変化で不登校になったり、あるいは授業についていけなくなるなど、いわゆる中1ギャップを解消するねらいがあると言われております。
 品川区においては、平成15年度に小中一貫特区の認定を受け、18年度より日野学園を設立いたしました。今のところ不登校もなく、学習面での成果もあったとのことでありますが、最初の1年生が9年間の課程を修了して卒業するのは平成27年3月ということもあり、部分的な成果や検証はできたにしても、総合的な検証はこれからであることは言うまでもありません。本区においても不登校が増加傾向にあり、そうした点では小中一貫校に期待する部分もある半面、成果が未知数という点では不安も抱いております。
 そこで質問いたします。
 1、新設される小中一貫校と既存校とのカリキュラムの違いが、かなりわかりづらい面があります。小中一貫校で有名な品川区は4・3・2制の独自のカリキュラムを組んでいるのに対し、本区の小中一貫校は6・3制を維持するとのことですが、学習面における本区の小中一貫校の特徴はどういうところにあるのでしょうか。(「特徴がないところが特徴なんだ」との声あり)
 2、新小岩学園には、既存の学校に比べて多くの学習支援講師が配属されると聞きますが、既存校と比べて何人多く配属されるのでしょうか。また、教員や学習支援講師など多くの職員が携わり、職員同士の連携が大事になってくると思いますが、連携はどのようにしていくのでしょうか。
 3、小学校と中学校のグラウンドの一体的整備を開校に向けて取り組んでいると庶務報告がございましたが、年齢差が大きい子供たちの休み時間の校庭利用をどうするのでしょうか。また、放課後の部活動、わくチャレ等の校庭の利用についてはどのようにしていくのでしょうか。
 4、小中一貫校に通う場合の保護者の負担について、小学1年生からブレザーの制服を導入する予定と聞いておりますが、どのくらいの価格帯を想定しているのでしょうか。また、制服以外で入学準備にかかる費用は、他の区立小学校と同じと考えていいのでしょうか。また、在学中における教材等の費用についても同様と考えてよろしいのでしょうか。
 5、小中一貫校はメリットもある半面、さまざまな問題点があるのも事実であります。他自治体の事例を検証しながら、慎重に進めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 次に、土曜授業の実施についてお伺いいたします。
 本区では、今年度、急遽試行的に土曜授業を5回から10回実施することを決めました。私は前回の議会で、土曜授業の本格実施に当たっては、検討委員会を設置して検証を行ってほしい旨要請をさせていただきました。検証作業はこれからだと思いますが、しっかりと検証し、また、保護者や地元の方など多くの方々の意見を聞いてほしいと思っております。
 また、一部の保護者からは、授業の中身が充実していなければ、授業時数をふやしても意味がないという声もあり、教育委員会は、ただ単に土曜授業で時間をふやすだけではなくて、こうした声にもしっかりとこたえてほしいと思っております。
 そこで質問いたします。
 1、本年度は、学校の裁量で5から10回実施することになっておりますが、実施予定はどうなっているのでしょうか。小学校、中学校それぞれ平均実施回数を伺います。
 2、仮に来年度から土曜授業を本格実施する場合、夏休みの縮減や夏休みの学習教室もそのまま続けるのでしょうか。
 3、夏休みを5日間縮減した際の学習面での成果はどうだったのか、お伺いいたします。
 4、土曜授業については検討委員会で検証することになっておりますが、本格実施に移行する上で検証のポイントはどういったところになるのでしょうか。また、保護者に対してもアンケート等の形で広く意見を聞くべきと思いますが、いかがでしょうか。
 次に、AEDについてお伺いいたします。
 本区においては、本年度、全小学校にAEDの設置が完了し、そしてまた主な公共施設への設置もおおむね完了したことは、高く評価いたします。
 皆さんご承知のとおり、心臓は停止してから3分で約50%、7分でほぼ100%蘇生することができなくなると言われております。昨年の3月に行われた東京マラソンでは、タレントの松村邦洋さんが走っている最中に倒れましたが、AEDによって一命を取りとめたことは話題となり、AEDが注目される出来事でもありました。ちなみに東京マラソンの際は、1キロ置きにボランティアがAEDを持って待機し、松村さんを救った自転車隊を加え61台で万が一に備えていたとのことで、やはり1秒でも早く対応できるということが大切であります。
 私自身も、区内のさまざまなスポーツ行事、ウオークラリーや青少年地区委員会主催のロードレース等、さまざまな行事の手伝いをしておりますが、多くの人が運動するにもかかわらずAEDを用意しないスポーツイベントがあることに気づき、やはりまだそれほどAEDが知れ渡っていないのではないかと思いました。せっかく本区で貸し出し用のAEDがあっても、こういったイベントに貸し出されていない現状を知り、やはりもう少しPR活動を積極的に行うべきと思いました。先月15日号の広報かつしかにも、紙面を1面割いてAEDのPRをしておりましたが、貸し出しのことは一言も触れておりませんでした。
 そこで質問いたします。
 ようやく区の主要施設へのAED設置が完了し、保健所には貸し出し用の携帯型AEDが4台あるとのことですが、余りよく知られておりません。積極的にPRして地域のスポーツ行事等に貸し出しをすべきと思いますが、いかがでしょうか。
 また、特に区が関係しているロードレースなどの行事においては、積極的にAEDの貸し出しを促進すべきと思いますが、いかがでしょうか。
 最後に、金町駅周辺の自転車駐車場についてお伺いいたします。
 この件については、多くの方からもご要望もあり、これまで何度も議会で取り上げてまいりました。利用時間の拡大についても、ちょうど4年前から要請させていただきましたが、ようやく西側に続き、東側においても5月1日より午前4時から翌午前1時半まで利用時間が拡大し、JRの始発から終電まで利用できるようになったことは高く評価いたします。
 これにより金町駅北口の駐輪場の利便性はかなり向上いたしましたが、その一方で、慢性的に自転車の駐輪場が不足しており、現在、金町駅北口だけでも待機者が約1,700人もおります。人気がある西側の駐輪場では1,100人待ち、そして期間もおおむね2年9カ月待たなければ定期利用できないなど、多くの方々が不便を強いられております。
 こうした状況の中、本区においては平成21年度の予算概要の中で、イトーヨーカドーの裏側にある三菱製紙の貨物線跡地を利用して自転車駐車場を整備する旨の発表があり、これである程度の駐輪場不足は解消されると期待をしておりました。私は、予算概要で発表しておりましたので当然設置するものと思っておりましたが、結局設置されるどころか、全く何もしないまま現在に至っております。
 そこで質問いたします。
 平成21年度の予算概要では、(仮称)金町西自転車駐車場を設置し、平成22年1月開設予定と記してあったにもかかわらず、開設をしなかったのはなぜなのでしょうか。
 また、金町駅北口は慢性的に自転車駐車場が不足しており、現在も多くの方が定期利用の申し込みをしながら待たされていることからも、早急に整備すべきと思いますが、いかがでしょうか。
 以上で私の質問を終了いたします。ご清聴ありがとうございました。

答弁

【区長】

 小林議員の(仮称)金町西自転車駐車場の整備に関するご質問にお答えをいたします。
金町駅北口地域につきましては、東京理科大の開学や、(仮称)新宿六丁目公園の整備などにより、大きな発展が期待されます。これに伴い、北口地域の街づくりについて検討を進めており、自転車駐車場の整備も街づくりの重要な要素の一つであると考えております。
 ご質問にあります(仮称)金町西自転車駐車場につきましては、三菱製紙株式会社から貨物線跡地の一部を借用し、平成22年1月に自転車駐車場として供用する予定でおりました。
 しかし、昨年度、土地所有者である三菱製紙株式会社から、貨物線跡地については葛飾区が有償で取得するよう要望がございました。用地を取得することになりますと、取得する区域を明確にすることや、価格等について検討を行うことが必要になります。こうした事情により、平成21年度には自転車駐車場としての整備ができなかったものでございます。
 しかしながら、ご指摘のとおり、北口地域では現在でも多くの方が自転車駐車場の定期利用の申し込みを待っていただいている状況にございます。このため、引き続き貨物線跡地の取得に向けて三菱製紙株式会社との協議を行ってまいりますので、よろしくお願いをいたします。
 なお、その他のご質問につきましては、教育長及び所管部長より答弁いたさせます。

【教育長】 
 本区の小中一貫教育校の特徴についてのご質問にお答えいたします。
 本区の小中一貫教育校の特徴は、学習指導要領による6・3制を維持しながら、同じ学校の環境下にあることを生かし、指導方法の工夫改善による小中連携の強化という形で一貫教育を進めていくものであります。
 来年度開設予定の新小岩学園では、現行の学習指導要領を基本に、各教科・領域において9年間を見通した指導計画を作成し、児童・生徒の発達段階に応じた教育活動を進めてまいります。
 また、小中の教員が同様の指導観を持って継続性のある教育活動を行っていくことにより、児童・生徒一人一人がつまずくことなく順調に成長できるようになり、一層の能力を伸ばせるものであります。
 教育委員会といたしましては、こうした小中一貫教育校で得られた成果を、可能なものは他の小中学校にも広め、小中連携をさらに推進することによって、葛飾区の教育の向上に役立ててまいりたいと考えております。
 次に、新小岩学園における学習支援講師についてお答えいたします。
 新小岩学園におきましては、小中一貫教育を推進するために、学習支援講師を5名配置しております。これは、中学校の教員が小学校で授業を行ったり、小学校の教科担任制を導入したりするための補充要員として配置しているものであります。
 お話にありましたとおり、小中一貫教育校の教育活動を進めるためには、教員同士の連携が大変重要になってまいります。多くの教員が工夫を図りながら連携できる時間を確保し、コミュニケーションを深めることは大変重要なことであります。
 このための手段の一つといたしまして、昨年度、小・中学校の職員室を1つにした職員棟を設置し、日常的にコミュニケーションを図れるよう環境を整えたところであります。
 次に、小中一貫教育校の他自治体の事例についてのご質問にお答えいたします。
 本区の小中一貫教育基本構想の策定に当たりましては、他自治体の小中一貫教育校について視察をしたり、情報を収集したりするなどの他の実践例を研究してまいりました。
 また、新小岩中学校や松上小学校の教員についても、品川区や足立区、三鷹市などの小中一貫教育校を視察しておりますし、地域や保護者を含めました小中一貫教育校推進協議会においても、品川区の小中一貫校伊藤学園を視察して、先進事例の調査研究をしております。
 教育委員会といたしましては、既に実施している他自治体の取り組み事例をこれからも参考としながら、葛飾区に適した小中一貫教育校となるよう取り組んでまいりたいと考えております。
 以上でございます。

【教育振興担当部長】
 新小岩学園におけるグラウンドの一体的整備についてお答えいたします。
 新小岩学園では、より広いグラウンドを活用し、子供たちの体力向上、部活動の活性化など、さまざまな効果が期待できることから、校庭の一体的整備を進めております。
 具体的には、小中の校庭を一体化することによって、区内で初めてとなる100メートル直線走路や一周300メートルトラックが設定できるとともに、小中合同の運動会の開催など、多様な活用が可能になると考えております。
 お話にありました休み時間の校庭利用につきましては、小中合同の生活指導部会を中心にして学校生活の決まりを話し合っており、その中で、休み時間の校庭の利用方法について検討しております。
 また、放課後の校庭利用については、小学生が中学校の部活動に参加することも考えられ、今まで以上に部活動の活発化が期待されます。また、わくチャレとの関係ですが、昨年度から、綾瀬中学校とこすげ小学校では、わくチャレの中で中学生が小学生を教える取り組みを行っております。
 このような事例を参考に、わくチャレと連携した取り組みや部活動の充実について検討し、よりよい放課後利用ができるようにしてまいりたいと考えております。
 次に、小中一貫教育校に通う場合の保護者の負担等についてのご質問にお答えをいたします。
 来年4月の新小岩学園の開校に向けまして、新小岩地区小中一貫教育校推進協議会を設け、地域や保護者の理解と協力を得ながら、さまざまな取り組みを進めております。その中で、標準服については、トータルで見ると経済的であるとのデータがあることを踏まえて、協議会で検討を行ってまいりました。その結果、小中一貫教育校としての一体感や愛校心をはぐくむため、小学校についても標準服を導入することとし、平成23年度の新1年生から順次導入を開始して、在校生については3年間の移行期間を設け、平成26年4月には全学年で導入することを決定しました。
 具体的には、標準服はブレザーの上着とし、家庭で容易に洗濯ができる素材で、児童の成長に合わせて買いかえを行うことを考慮して、安価なものを選定する方向で検討が行われています。
 また、入学準備や教材等に要する保護者の方々のご負担につきましては、小中一貫教育校として開校いたしましても、他の小学校の場合と変わりないものと考えております。
 次に、土曜授業に対するご質問についてお答えいたします。
 葛飾区では、本年1月の東京都教育委員会からの通知、小・中学校における土曜日の授業の実施に係る留意点についてを踏まえ、教育振興ビジョン第2次の具現化に向けて、年間5回から10回の土曜日を活用した授業を試行的に実施していくことといたしました。
 土曜日授業の目的は、新学習指導要領の全面実施における授業時数増加への対応や、確かな学力の向上、家庭・地域との連携を図るなど、充実した教育活動を推進するために実施していくものであります。
 この試行の実施に当たりましては、小・中学校の校長会とも十分に協議を重ね、その結果、平成22年度は各学校が対応できる範囲での実施回数といたしました。
 実際の土曜授業の実施回数については、各学校の実態に応じて、年間5回から9回の範囲で計画しております。平均実施回数については、小学校では5.3回、中学校では5.4回、全体で5.4回の実施となっております。
 次に、夏季休業日の縮減及び夏休み学習教室を引き続き実施するのかというご質問ですが、夏季休業日の縮減は、現行の学習指導要領における授業時数の確保策として実施したものであり、葛飾区教育振興ビジョンの中で引き続き行うと明記されていることから、継続して実施してまいります。
 また、夏季休業日の学習教室に関しましては、葛飾区土曜日授業プロジェクト検討委員会の中でさらに充実できるよう、内容、方法等について検討してまいります。
 夏季休業日の縮減による学習面での成果につきましては、年間の授業時数をふやして、必要な指導時間を確保することにより、学校ごとにゆとりある教育計画を作成することができ、その結果、学習面で好ましい状況が生まれています。ある学校では、縮減により得られた時間のうち、15時間を計算力を高めるための学習時間として設定したことにより、計算の技能の習熟を図ることができたなど、着実に成果を上げております。
 次に、土曜日授業を本格実施する上での検証のポイントについてですが、まず第1に、土曜日授業の目的に照らした検証を行ってまいります。土曜日授業の目的は、新学習指導要領の全面実施における授業時数増加への対応や、確かな学力の向上、家庭・地域との連携を図るなど、充実した教育活動を推進するために実施していくものであります。
 この目的に照らして、各学校における土曜日授業の内容をどのようなものにしていくかについて、本年度の試行実施を踏まえて検討を進めてまいります。
 第2に、実施回数について検証を進めてまいります。現在、年間5回から9回の土曜日を活用した授業を各学校で実施しておりますが、来年度の本格実施の際には、月1回程度の実施を目指して検討を進めてまいります。
 第3に、統一的な実施について検証を進めてまいります。統一的に実施をした場合、あるいはしない場合のメリット、デメリットについて検討し、小学校と中学校を同じ日に実施するかどうかも含めて検討してまいります。
 また、保護者などから広く意見を聞くことについては、PTA連合会や地域団体、社会教育団体などから意見をお伺いしてまいります。
 教育委員会といたしましては、平成23年度の各学校の年間計画に反映できるように、早い時期に一定の方向性が出せるよう取り組んでいきたいと考えております。
 以上でございます。

【保健所長】
 AEDの貸し出しに関するご質問についてお答えいたします。
 本区のAEDの設置については、このたび全小学校に配備が完了したことから、区内全域をカバーすることができるようになりました。このことにより、スポーツ行事やロードレースなどの行事の会場となると思われる主な施設にはAEDを配置してあります。
 AEDの貸し出しについては、その使用方法や心肺蘇生法の講習会受講状況の確認が必要なことから、これまでは、それぞれの行事と密接な関係のある課を通じて、立石さくら祭りや新小岩ふれあいまつりなど、地域で主催する行事についても貸し出しを行ってきたところであります。
 今後は、広報かつしか等を通じ、AEDは全小・中学校に配置してあること、保健所でAEDの貸し出しを行っていることについても積極的にPRしてまいります。
 以上です。