過去の記事

平成19年第1回定例会一般質問

お許しをいただきまして、私は民主党葛飾より、区長並びに関係部長に通告に従いまして区政一般質問をさせていただきます。
【格差問題・区の非常勤職員の待遇問題】
 現 在、日本では格差が社会問題化しております。この格差社会の問題は格差が存在することではなく、格差が拡大し、固定化してきていることにあると思います。 私は最近、小林由美さんの著書「超・格差社会 アメリカの真実」という本を読みました。この著書によりますとアメリカでは五%の富裕層が六割の資産を保有 しているとの事です。金融資産に限って言えば一%の富裕層が全米の四割の資産を保有しているという、極めて異常とも言える超格差社会であることが判りま す。またアメリカではビリオネアと呼ばれる十億ドル、日本円に換算すると千二百億円以上の資産を持つ超富裕層が約四百世帯もいるとされる一方で、国民の三 割は貧困層であると言われております。日本においても小泉内閣が進めた構造改革路線で、アメリカ型社会同様、格差は縮まるどころか拡大を続けております。 私は、日本の国を決してアメリカのような超格差社会の国にしたくはありません。
い ざなぎ景気をも超える好景気が持続しているにも関わらず、実感が持てないとよく言われます。これは企業が株主に対する配当を高くしたり、役員報酬のアップ をしているにもかかわらず、労働分配率が低下していることに起因していると思われます。個人の可処分所得が増えない、もしくは減った結果、個人消費が伸び 悩んでいる状況にあります。そして、正規社員とパート労働者においても賃金の格差が広がりを見せております。これは企業の利益還元を賃金に反映するのでは なく、ボーナスに反映するのも一因と思われます。また、雇用の面では短期契約が多く、いつクビになるか分からないという、精神的にもきつい面を背負ってお ります。先般二月二十二日に衆議院予算委員会での公聴会でキャノンの工場で請負をやっていた大野さんは「何年働いても賃金は上がりません。ボーナスはな く、退職金制度もありません。私たちには景気回復傾向の実感はまったくなく、待遇は日に日に悪くなっているのが現状です」と述べております。この公聴会で は偽装請負も問題になりましたが、まさにこの大野さんの言葉は非正規社員の実情を現しております。非正規社員の問題は賃金の問題、雇用の不安定さという二 つの問題をはらんでおり、今後は今以上に非正規への目配りが必要になってきております。我々民主党は格差是正こそが最大の政治課題であるという認識のも と、区議会においても格差社会解消に向け全力で取り組み、今後も引き続き働くものの立場に立って、固定化してしまった格差社会解決に向けて全力で取り組ん で参ります。葛飾区においても格差是正に向けて独自にできる施策は是非とも実行して頂きたいと思います。そして区が発注する公共事業を請け負う事業所に対 しては、下請け・孫請けも含め、労働者の権利を守るために労働関係諸法の徹底を指導して頂きますよう要請いたします。
  さて、非正規社員、パート労働者の待遇が社会問題化している中で、葛飾区においても、これまで議会でほとんど取り上げられてこなかった非常勤職員の待遇に 目を向けてみたいと思います。葛飾区においていまや千六百六十五人の非常勤職員がいると聞いております。この人数は常勤職員の半分に達しており、常勤職員 の方々と同様区役所の第一線に立っております。私は非常勤職員の待遇についての一般質問をするに際して、総務部や福祉部そして子育て支援部等にお勤めに なっている十一名の非常勤職員の方から意見聴取をさせて頂き、その際に支給明細書や源泉徴収票も拝見させて頂きました。そして、その中で誰もが共通して口 にするのが、「給料が下がるばかりで、一度も上がったことがない」ということでした。確かに福祉部に所属している非常勤職員の平成十六年分と十八年分の源 泉徴収票を拝見いたしますと、手取りの給与が約五万五千円も下がっておりました。この状態は看過することはできません。学校調理員に関しては賃金面での待 遇改善があったと聞いておりますが、平成十一年度以降、非常勤職員の賃金は据え置きや引き下げが続いており、一度も引き上げがないと聞きましたが、事実で しょうか。
ま た、賃金を下げる理由として、葛飾区は特別区人事委員会の勧告を挙げております。しかしながら正規職員と賃金が大幅に異なり、低賃金に抑えられている非常 勤職員の賃金に人事委員会の勧告をリンクさせる理由は何なのでしょうか。また、非常勤職員の賃金を人事委員会の勧告によって引き下げる法的根拠はあるので しょうか。
  そして冒頭でも触れましたが、格差問題が社会問題化している今日、民間においてもまだまだ超えなければならないハードルはありますが、ようやくパート労働 者、非正規社員の待遇改善に光が当てられるようになりました。そして定率減税の廃止による増税などで可処分所得が減る中、民間の手本となるべき区役所が、 毎年非常勤職員の賃金を下げている状況はどんなことがあろうとも格差の固定化を助長していると言わざるを得ません。いざなぎ景気を超える経済成長が続き、 来年度の税収も増えている今日、それに逆行する賃金の引き下げは理解できません。区長はこの現状をどう思っているのかお伺いします。
 そして非常勤職員の方々から様々なご意見を伺いましたので、その一部を紹介させて頂きます。当然のことながら匿名とさせて頂きますが、もし仮に個人が特定さ れることがあっても、このことにより不利益な扱いがなされないよう配慮願います。まずは約十年くらい福祉部に勤めているAさんは「成績が悪かったら派遣に 替える」と上司から言われ、子育て支援部のBさんは「賃金が下がっていくためどんどん周りの人がやめていく」と嘆いておりました。そして同じ子育て支援部 のCさんは「何年働いても新しく入ってきた人と同じ賃金で、しかも今までの仕事に加えて新人さんの指導もしなければならない」などの不満を聞きました。そ してある部の常勤職員のDさんからも「せっかくノウハウを身につけ、仕事に慣れても、他に賃金がいい職場があると移ってしまい、また新しい非常勤職員に一 から教えなければいけない」など効率の悪さを指摘しておりました。私は区長をはじめ、理事者の方々にこうした現場の声をしっかりと受け止めて欲しいと思い ます。そしていかに非常勤職員の方々のやる気、能力を引き出していくかということが区民サービスの向上に繋がるということを認識すべきです。葛飾区は任用 期間が一年であることを理由に昇給を否定しているようですが、自治体によっては昇給制度を取り入れたりして待遇改善をはかっているところもありますが、いかがですか。
  さて、今日は非常勤職員の方から意見聴取の際に是非とも改善して欲しいという要望があった件について質問させて頂きます。それは葛飾区徴収嘱託員設置要綱 の件であります。この要綱の中では、任用期間は第四条の一項で「徴収嘱託員の任用期間は、四月一日から翌年三月三十一日までの一年とし、当該年度の途中に おいて任用する場合の任用期間は、その残余の期間とする。」と規定しておりますが、二項では「前項の規定にかかわらず、特に必要があると認められる場合 は、同項に規定する期間より短い期間の任用を行うことができる」との規定があります。この規定は非常にあいまいであり、内規に示して欲しいとのことでし た。この「特に必要と認められる場合」とはどういう場合を指すのかをお示し下さい。
教育問題(環境教育・校庭の芝生化など)
近 年は地球温暖化が進んでおります。今年は未だ雪も降らず、池にも氷がはらない状態が続いております。この状況を何とか変えていかなければ、我々の住む地球 は将来深刻な事態を引き起こす可能性があります。先月来日したアメリカの元副大統領のアル・ゴア氏の原作「不都合な真実」がおとといアカデミー賞を受賞 し、話題となりました。この作品は、ゴア氏が、長年にわたり続けてきた地球温暖化問題を伝える講演活動を収録したものです。ゴア氏は講演で「世 界のこの危機的な状況は、政治的な問題ではなく、我々、一人一人が取り組まなければいけない問題である」と言っています。レジ袋を使わないで買い物袋を持 参したり、徹底したゴミの分別など我々一人ひとりが取り組まねばならないこともたくさんあります。葛飾区においても積極的に環境に配慮した街づくり、環境 施策を実施していかねばなりません。
  この度東京都が昨年十二月にまとめた「十年後の東京」では都内の公立小・中学校の校庭を十年以内に全て芝生化することを謳っております。私も校庭の芝生化 は地球温暖化防止の観点から、そして環境教育の一環として推進すべきであると考えます。しかしながら芝生化には解決しなければならない問題を抱えているこ とも事実であります。初期費用もさることながら、芝刈りや肥料の散布、害虫の駆除など維持管理にはそれ相応のコストと手間がかかる点であります。せっかく 芝生を敷き詰めても剥げたり枯れたりしては無駄になってしまいます。
 そこで質問します。実際に芝生化するかどうか決めるのは葛飾区ですが、この東京都が十年以内にすべての公立の小・中学校の校庭の芝生化を努力目標として掲げたことをどのように受け止めているのか、また現実性はあるのかをお答え下さい。
  そして平成十九年度の予算概要に金町小学校の校庭芝生化が盛り込まれております。金町小学校は芝生の維持管理も学校と地域、PTA等の協力で行っていくと 聞いております。是非とも今後の手本となるようなモデル校になって欲しいと願っておりますが、次年度以降他の学校で計画はあるのでしょうか。
そ して、現在、環境教育は総合的な学習の時間等を使って区内の約半数の学校で実施をしているとのことですが、どのような授業をどのくらいの時間を使って行っ ているのでしょうか。また、私は全ての小学校、中学校においても循環型社会到来に向けて環境教育を実施すべきであると考えますがいかがでしょうか。
  葛飾区で学校選択制を導入して中学校で四年、小学校で三年の歳月が経過し、ようやく定着したように思われます。しかしながら、学校選択制を導入している自 治体で共通している問題は、一部の学校に希望が集中してしまい、人気校と不人気校に二極分化してそれが固定化してしまう傾向があることです。もともと学校 選択制を導入する以前から学校間格差は存在していました。それが選択制を導入することにより保護者・生徒・児童が学校を自由に選べるようになり、学校間格 差が目立つようになってきました。学校選択制が導入されたとはいえ、どの学校に通っても同じであれば自宅から近い学校に通うと思います。わざわざ保護者や 生徒が学区域以外の学校を選択するには何か理由があるはずです。その辺をしっかり捉え、改善していかなければならないと思います。これは学校選択制を導入 した以上は避けて通れない問題です。来年度の中学校の希望状況を見ると、今年度以上に一部の中学校に希望が集中し、希望校に入学できない生徒が続出しそう な状況であります。こうした状況は決して好ましい状況ではないと思いますが、教育委員会は何か対策を講じているのでしょうか。
  現在は情報公開の時代であり、可能な限り行政が持っている情報をガラス張りにすることが求められております。葛飾区議会においても本会議や委員会の議事録 がホームページ上で公開されておりますが、教育委員会の議事録は公開されておりません。しかしながら、隣の足立区をはじめ、板橋、練馬、文京、港、杉並、 中野区など東京二十三区では約三分の一の区で議事録の詳細がホームページ上で公開されております。教育委員会は教育行政の執行機関であり、その重要性を考 えると教育委員が事務局からどのような報告を受けているのか、どの委員がどういう発言をしているのか公開する必要があると思います。是非とも他の区が行っ ているようにホームページ上で公開すべきと思いますが、いかがですか。

図書館のサービス向上を!
 平成二十一年度には新たに中央図書館が完成します。私はこの中央図書館を是非とも日本の市区町村の自治体で一番すばらしい図書館にしてもらいたいと思いま す。現在の葛飾区立の図書館では容易に外部からインターネットを通じて図書館にある書籍等の検索や予約できるシステムはすごく便利で好評です。また、休館 日に関しても数年前から祝日を開館したり、葛飾図書館では今年度からこれまで休館日だった月曜日を開館するなどサービスの向上が図られていると思います。 また中央図書館オープンに向け、平成十九年度予算に今までとは別枠で図書資料購入経費を計上しておりましたが、他の区立図書館においても引き続き図書資料 の充実を強く要望いたします。そして、より使いやすい図書館にするためには改善すべき点もあります。区立の図書館は十二月二十九日から一月三日までの六日 間続けて年末年始の休みになります。普通の会社員の方はちょうど十二月二十九日から休みという方が多いと思いますが、せっかく休みの間に読書をしよう、調 べものをしようという時に休館というのはいかがなものかと思います。今ではコンビニエンスストアはもとより、スーパーマーケット等の大規模小売店は年中無 休が普通になっております。私は、全ての図書館を年中無休にしろとまでは言いませんが、一部の図書館だけでも開館するなど、利用者の立場に立った運営を行 うべきであると思いますがいかがですか。また、中央図書館のオープンを契機に開館時間の拡大を検討していたと思いますが、結論が出たのかお伺いします。
ま た、情報化社会を迎えた今日、葛飾区立の図書館にもITを活用した資料の提供が始まる点は評価したいと思います。それに伴い各図書館に二台パソコンを配置 するとの事ですが、今後とも是非とも推進して頂きたいと存じます。そして現在都立図書館など一部の図書館では利用者が持ち込むノートパソコンを無線LAN などの設備でインターネットに繋げるサービスを行っているところもあります。平成二十一年度には中央図書館がオープンしますが、このような無線LANなど の環境整備等は考えているのでしょうか。
  次に大学誘致についてお伺いいたします。私も地元の議員として大学誘致には強い関心を持っております。区長の冒頭挨拶の中には「平成十九年度中の合意形成 に向けて精力的に協議を行っていく」との発言がありました。今年こそがこの大学誘致の成否を決める重要な年になると思います。
大学誘致について
大学誘致に関しては一月の総務委員会、そして区長の冒頭挨拶にもございましたように、厳しい状況下で都市再生機構と話し合いを進めているとのことでありますが、もし仮に話がまとまった場合についてのお尋ねをさせて頂きます。
  大学誘致に関して住民の注目するところは、財政支出の点であります。昨年九月の総務委員会で大学固有の敷地、建物については一切補助するつもりはない旨の 発言がございました。葛飾区は大学の用地に関しては葛飾区が購入し、順天堂に譲り渡すと記載してありますが、一時的にせよ葛飾区が購入するとなると数百億 円という膨大な資金が必要となるわけですが、その資金をどうするのかまずそのスキームをお伺いしたいと存じます。
  また、大学の用地は最大十一万平米であることが明記されております。その中には約二万平米公園として整備される所やグラウンドもあり、グラウンド等は区民 と共同で使用するという話も聞くわけでございますが、順天堂大学が実際に購入すると想定される大学固有の敷地は何平米になるのか、そして公園等残りの土地 は補助金を利用するとも聞いておりますが、具体的にどのような補助金を使うのか、最終的な葛飾区の負担はいくらになるのか、もしくはすべてを国や都の補助 金で賄えるのかお示しいただきたいと存じます。
京成金町線の列車本数の増発を!
 平成二十二年度に京成金町線の高砂駅が高架化されることになりました。このことによって京成金町、柴又駅の利用者にとっては、朝夕の上野や押上までの直通運 転がなくなり、不便になります。しなしながら、その一方で京成電鉄株式会社は高砂駅に金町線専用ホームができることによって増便も可能であると説明してお ります。京成金町線の昼間の列車本数は一時間に三本という東京二十三区内とは思えないほど極めて少ない本数であり、利用者も不便で利用しにくい状況でした が、これを契機に是非とも金町線の増便を期待するものであります。葛飾区においては是非とも積極的に京成金町線の増便の要請をすべきであると思いますがい かがですか。
水元高校の跡地について
  さて、もう時期卒業式のシーズンが到来しますが、今回の卒業式と同時に閉校になる学校があります。それは都立学校の統廃合により、今年度をもって閉校とな る都立水元高校です。私自身も水元高校の最後を見届けるべく、三月三日の卒業式、そしてその後に行われる閉校式に出席させて頂く予定ですが、地元の水元高 校がなくなるのは寂しい思いがいたします。それと同時にこの水元高校の跡地がどうなるかというところに住民の皆さんの関心がいっております。葛飾区は「元 気満点プロジェクト」の中で、フィットネスパーク構想を打ち出しており、隣接する温水プールや水元体育館と一体となった運動公園をつくるとしております。 しかしながら、現在の土地の所有者は東京都であり、葛飾区がフィットネスパーク構想を実現するためには東京都から土地を譲渡してもらわねばなりません。現 在、東京都との折衝はどうなっているのかお答え下さい。
新宿六丁目について
  最後に新宿六丁目、三菱製紙工場跡地についてお伺いいたします。新宿六丁目は、都市再生機構が三菱製紙から譲渡を受け、現在も売却した一部を除いて所有し ております。現在A街区については、先ほど質疑をさせて頂きましたとおり、葛飾区が都市再生機構と大学誘致に向け交渉中であり、C街区については今年一月 に都市再生機構が入札を行い、住友不動産が用地を習得しました。B街区は、その土地の一部を社会福祉法人が特別養護老人ホーム建設のため土地を習得いたし ました。しかしながら残りのB街区については、未だに具体的な用途、条件など都市再生機構からは示されておりませんが、B街区の計画はどうなっているので しょうか。このB街区はA街区の大学誘致ともリンクをしているのかどうかお伺いいたします。
 以上で私の質問は終了させて頂きます。答弁如何によっては再質問をさせて頂きます。ご清聴ありがとうございました。
答  弁
【区長】
 小林議員のご質問にお答えをします。
ま ず格差問題についてでございます。バブル経済崩壊後の長い不況の中で各企業が痛みを伴うリストラを断行し、経営の建て直しを最優先に行ってまいりました。 当然のことながら、企業が立ち行かなければそこに働く社員の待遇改善もないわけでございます。本区も同様に税収が落ち込みまして、安定した行政サービスの 提供や新たな課題への対応が困難な状況が続きました。こうした厳しい状況に直面した中で、第1次、第2次にわたる経営改革の取り組みを通じて、約700人 におよぶ職員定数の削減を行いました。これまで職員が担っていた業務を民間事業者や非常勤職員等に委ねることで総人件費の抑制を図りながら、健全な財政基 盤の確立に努めてまいったところでございます。本区におきます非常勤職員の給与水準は必ずしも不適正なものであるとは考えておりませんが、最近ではお話に ありましたいわゆる格差問題やワーキングプアが社会的な問題として大きく取り上げられるようになってまいりました。これに対応するため、たとえば政府で は、今年2月に成長底上げ戦略構想チームを発足させて安定的な経済成長の持続や再チャレンジ支援施策の一環として、人材能力の開発、就労・中小企業対策の 3点を柱として成長底上げ施策を重点的に取り組むための議論をスタートさせたところでございます。本区といたしましても、こうした国や民間企業の動向を見 守りながら、引き続いて本区の非常勤職員の報酬水準をさらに適正なものとなるように努めてまいりたいと考えております。
  次に大学誘致についてのご質問にお答えいたします。この件につきましては、昨日米山議員の代表質問でも取り上げられておりますのでお答えが重複することも あろうと思いますがご了承をいただきたいと思います。まず土地購入資金のスキームや区の負担等についてのご質問にお答えをいたします。区では順天堂大学か ら平成18年9月5日付の文書によりまして、新宿6丁目地区三菱製紙株式会社中川工場跡地にスポーツ健康科学部を中核とした大学の移転進出をしたい旨の意 向を確認できたということから当該用地の所有者であります独立行政法人都市再生機構と土地利用計画の転換および当該用地の譲渡価格について協議を重ねてい るところでございます。この協議に際しまして都市再生機構は譲渡価格については近傍取引事例を勘案した適正な価格をという考え方を示してまいりました。当 該新宿6丁目の土地取引事例だけを見ますと、B街区の特別養護老人ホームは1平米あたり約60万5千円、先日行われたC街区で1平米あたり約77万5千円 という金額で落札されたものでございまして、取引価格として極めて高いものと認識をしております。大学誘致に際して区といたしましては大学が大学として固 有に必要とする用地については、自ら購入をしてもらうことを想定していることから、仮に区が購入可能価格であると判断をした場合でも大学が購入できないと いう場合が十分に想定をされることから、可能な限り低廉な譲渡価格の合意形成を図っていかなければならないものと考えております。また当該用地の譲渡方法 につきましては、都市再生機構が一大学に直接随意契約で譲渡することは困難であると認識を示していることから、ひとつの方法として、区が必要とする用地と 大学が固有に必要とする用地の全部について一括して区が譲渡を受け、その後大学が必要とする用地を大学に転売していく方法について検討して参りたいと考え ております。またその用地の購入方法につきましては当該用地の土地利用計画を踏まえまして、土地開発公社の活用、あるいは国、東京都の補助制度、基金や地 方債の活用などの可能な限りの財源対策を検討してまいりたいと考えております。
  次に順天堂大学が実際に購入すると想定される大学固有の敷地面積についてのご質問にお答えいたします。現在順天堂大学側からは当該用地約11haを活用し たい旨の意向が示されているわけでございますが、大学が必要とする固有の敷地面積についてはいまだ明確に示されている状況ではございません。区といたしま しては大学が大学として固有に必要とする用地については自ら購入してもらうこと、また広く区民に開放され、日頃から区民と大学とで共用できる部分について は区が購入をして所有していくことも含めて今後大学との具体的な協議を進めて参りたいと考えております。いずれにいたしましても当該用地の購入には多額の 経費が必要となることから、当該用地の譲渡価格の合意形成を進めながら具体的な土地利用計画や活用方法、必要な敷地面積等につきまして、今後大学側と十分 な協議を進めて参りたいと思います。
 その他のご質問につきまして、教育長及び所管の部長から答弁を致させます。
【教育長】
  環境教育についてのご質問にお答えいたします。本区では小学校29校、中学校16校が総合的な学習の時間のテーマとして環境をとりあげており、指導時間は 学校や地域の実態等によってさまざまな状況であります。学習内容といたしましては小学校では地域の自然やリサイクルなど、身近な生活の中から問題を捕らえ る学習を、中学校では地球温暖化やごみ問題など身近な問題を地球的な視点から捉える学習を進めております。また、特別活動などで行われるリサイクル活動の 取り組みを含めますと、ほぼ全校で環境教育について取り組んでいることになります。教育委員会といたしましてはこれからの社会を生きていく子どもにとって 環境問題を正しく理解することはきわめて重要なことであると認識しておりまして、今後とも環境教育が各学校で推進されるよう働きかけをして参りたいと考え ております。
  次に学校選択制度についてのご質問にお答えいたします。本区の学校選択制度の導入は平成15年度から中学校において、平成16年度から小学校において実施 をしております。年々、学区域外の学校を選ぶ児童・生徒が増加して、中学校では約30%を占めるまでにいたっております。その結果、希望者が多い学校とそ うでない学校が発生し、一部の中学校では抽選をしなければならない状況になっております。また昨年度は最後まで待機していた補欠登録者が希望校に入学でき ないという事態もおきてしまいました。これは学校の受入数を遥かに越える希望者がでたことによるものであります。もともと学校の施設規模というものは有限 でありますことから、常にすべての希望者を受け入れる体制を整えるということは不可能であると言えます。本区の学校選択制度の導入にあたっては余裕教室の 範囲内で受け入れる学級数を決めることを前提としており、校舎の増改築等を行うことまでは想定してはおりません。学校の施設規模の範囲内での募集というこ とは学校選択制度が抱える宿命的な課題でありまして、希望者の全て受け入れるために施設整備を行うことはきわめて困難な問題であると考えられます。一方学 校選択制度の導入によってそれぞれの学校が特色ある学校づくりや、魅力ある学校づくりに取り組み、子ども達に選んでもらえるよう、よりよい教育作りを目指 して努力しております。また学校は地域が支えていかないとより良い教育が行えないことから、地域に開かれた学校づくりが一層進んでおります。このように学 校選択制はプラスの効果も大きくあり、保護者からの評価も高いことから、教育委員会といたしましては、マイナス面の課題を解決しながら円滑な学校選択制度 となるよう今後とも努力してまいりたいと考えております。以上でございます。
【総務部長】
  はじめに専門非常勤についてのご質問にお答えいたします。まず本区におきましては専門的分野などにつきまして専門的知識・技術を有する人材を活用すると共 に、さきほど区長から申し上げました通り、第1次・第2次の経営改革を通じ約700人の職員を削減してまいりました。これまで職員が担っていた業務を民間 委託や非常勤職員などに代替的に委託することにより、総人件費を抑制し、その原資を真に必要な行政サービスに振り向けて参りました。当初の報酬の設定につ きましては、その職責・職務内容・勤務日・民間企業の動向などを総合的に判断し決定してきたものでございます。
  次にお話の報酬の引き下げについてでございますが、非常勤職員についてもその時々の社会情勢に応じた適切な報酬とするのは当然であります。官民の賃金水準 の比較を行っている特別区人事委員会勧告を反映させることにより、報酬の水準を適正なものとしております。従いまして、勧告がプラスの際は引き上げ、マイ ナスの際は引き下げを行っております。お話にありますように一部の職種のおきましては待遇面などから非常勤職員の流出があることは事実でございます。しか しながら報酬の改定にあたっては他団体との単純な報酬額の比較のみではなく、免許・資格や専門性、熟練性、経験などを要する職課を考慮すると共に、比較的 高い専門性や熟練性を要求される職については労働市場の需給関係から採用できるかなどを総合的に判断して決定しております。次に昇給につきましては非常勤 職員の任期が1年となっており、雇用の更新を行っても職責や職務が変わらないことから昇給を行うことはなじまないと考えております。来年度に向け給食調理 員についてもこうした観点から見直したものでございます。今後とも民間や他団体の動向を見極めつつ、業務の内容に応じた適切な報酬といたしたいと考えてお ります。
次 に徴収嘱託員に対し短い期間の任用を行うことができる「特に必要と認められる場合」の質問にお答えいたします。徴収嘱託員の任用期間については葛飾区徴収 嘱託員設置要項において、特に必要があると認められる場合は通常より短い期間の任用を行うことができると規定しております。任用期間を短縮する特に必要が あると認められる場合は内規で定めており、全嘱託員にも周知しているところでございます。その中で任用期間を短縮する事由の一点目は業務成績不良の場合で 任用更新時期である年度末の直前、6ヶ月の徴収額が他のものと比較して著しく低い嘱託員には任用期間を6ヶ月間に短縮します。実際の運用については任用更 新を行う半年ほど前から当該嘱託員に対して継続して業務成績を向上するよう指導を続け、なおも業績が改善されない嘱託員に対して任用期間の短縮をおこなっ ております。さらに任用期間短縮を行うにあたっても、当該6ヶ月間の任用期間中に成績を上げるよう継続して指導し、次回更新時において尚も改善が見られな い場合は任用を更新しない旨告知します。二点目は徴収票等個人情報の紛失などの業務処理ミスや素行不良があった場合なども任用期間を6ヶ月間に短縮しま す。当該6ヶ月の任用期間内において、同様のミスや素行不良があった場合には設置要項の規定に基づき適格性欠如として解職する旨を告知します。いずれの場 合も当該6ヶ月間の任用期間中に改善が見られた場合は通常の任用期間に戻しているところでございます。以上でございます。
【教育次長】
東 京都が策定した公立学校運動場芝生化計画についてのご質問にお答え致します。この計画は都市のヒートアイランド対策として、平成19年度から10年間で都 内約2000校の公立学校のすべての校庭を芝生化するという計画でございます。葛飾区では、ヒートアイランド現象の緩和をはじめ、子供達が伸び伸びと遊 び、スポーツを楽しめるオープンスペースを確保するため、平成17年度に東京都のモデル授業を活用して、高砂小学校の校庭の一部を芝生化致しました。学校 からは校庭に出る子供が増え、怪我の心配をせずに自由に遊びスポーツを楽しんでいること、また校庭に面した教室が涼しくなったなどの報告を受けておりま す。しかし校庭を芝生化するには、工事については東京都の補助事業を活用することが出来ますが、芝生を適正に管理するために多くの手間がかかります。この ため高砂小学校で行っている、地域やPTAのみなさんによる芝生の会のような維持管理を行う仕組みをつくっていただくことを進めながら、校庭の芝生化を検 討してまいりたいと考えております。次に平成19年度以降の校庭芝生化の計画についてでございますが、これまでに実施してきた高砂小学校や、来年度実施予 定の金町小学校における検証結果を把握しながら、維持管理体制の構築を含めてさらに検討して参りたいと考えております。
  次に教育委員会議事録の公開についてのご質問にお答え致します。教育委員会の会議は、地方教育行政の組織および運営に関する法律第13条第4項の規定によ り、原則として公開するものとされています。これを受けまして、現在本区では会議当日における傍聴という方法により、会議を公開している所でございます。 ご質問の会議録のホームページ上での公開につきましては、現在23区のうち、11区においてなんらかの形で実施しております。本区におきましては、ホーム ページ上で会議録自体の公開はしておりませんが、会議の開催に先立って議事日程を掲載し、会議終了後直ちに議決の結果などを公開している所でございます。 お話にありました通り、情報化が進んでいる今日、区民に開かれた透明性の高い教育行政を進めるためには、会議録をホームページ上で公開することは、時代の 要請であると認識をしております。現実的には、会議録のテープ起こしをどのように行うのかという問題があるわけですが、今後他の自治体の取り組み例を参考 にしつつ、公開の内容や時期、必要となる経費などにつきまして、引き続き検討を行って参りたいと考えております。
  続きまして、図書館の年末年始の開館についてのご質問にお答えします。葛飾図書館では、これまでも開館日の拡大や、開館時間の延長を図って参りました。今 年度につきましても、月曜休館の廃止や、曝書期間の短縮などにより、昨年と比べて57日間の開館日数の拡大を致しました。一方で新中央図書館は、駅前の好 立地にあり商業施設との複合施設でもあることから、様々な人の利用が見込まれており、年末年始の利用についても需要が出てくるものと考えられます。新中央 図書館開館に当たりましては、こうした需要や開館に伴う経費などについて、十分検討していくとともに、開館時間の延長につきましても検討していきたいと考 えております。
  次にインターネット利用環境の整備につきましてお答え致します。IT社会の進展に伴い、図書館でのインターネットによる情報提供の需要が高まっておりま す。現在ビジネス支援事業の一環と致しまして、地域館にインターネットを利用できるパソコンを各2台設置し、9種類のデータベースを利用出来るようにして おります。新中央図書館ではこれをさらに拡大して、多くの方々が自由にインターネットによる情報の活用を出来るように整備して参りたいと考えております。 また利用者自身が持ち込んだパソコンにつきましても、インターネットに接続できる環境を整えて参りたいと考えているところでございます。
【都市整備部長】
  金町線高架化工事に伴う利用者の利便性向上についてのご質問についてお答え致します。今回の対策工事は、高砂駅付近における踏切の遮断時間の増加防止と、 鉄道の安全性向上の観点から、当面の措置としてはやむを得ないと考えておりますが、お話にもありましたように金町線利用者に対しては、ご不便をおかけする 面もあると思います。この点につきましては京成電鉄としても、今回の工事に際して金町線のダイヤ編成を見直し、利用者の利便性向上を図る旨公表していると ころであり、区といたしましては、利便性向上策が京成電鉄において確実に図られるよう引き続き要請して参ります。
  次に新宿6丁目のB街区の計画についてのご質問にお答え致します。新宿6丁目地区のB街区は、面積が約2.2haで、医療福祉施設や文化交流施設また都市 型住宅など、多様な都市機能の導入により、複合的な土地利用を目指している街区であります。すでに街区の北西部分約3500平方メートルにつきましては、 社会福祉法人藤樹会が、特別養護老人ホーム整備用地として取得し、現在施設整備に向けた準備手続き等を進めているところです。なおB街区の残りの土地につ きましては、都市再生機構より、A街区と同時期に土地の譲渡を行いたい意向であると聞いております。
【政策経営部長】
都 立水元高校跡地の活用に関する東京都との折衝の状況についてのご質問にお答えします。水元高校の跡地につきましては、お話にありました通り、かねてより健 康づくりや子供達から高齢な方まで、幅広くスポーツを楽しむための拠点となる健康運動公園として活用して欲しいという地元からの強いご要望を踏まえ、区民 がいつでも誰でも気軽にスポーツを楽しむことが出来るフィットネスパークとして活用することを基本計画に位置づけたところでございます。区といたしまして は、こうした考え方に基づき、水元高校跡地の区への譲渡について地元の町会や都議・区議の皆さまとともに、東京都に対して数回にわたり強く要請して参りま した。水元高校は平成19年3月に廃校予定でありますが、現段階では跡地の活用について、東京都からは教育施設として引き続き活用したい旨の意向は示され ておりますが、その具体的な方向性や、今後のスケジュール等について明確な方針は示されておりません。区といたしましては、今後とも引き続き地元の皆さ ま、また地元の議員の方々と十分な連携を保ちながら、フィットネスパーク構想の実現に向け、東京都に対して一層粘り強く要請を継続して参りたいと考えてお ります。
再 質 問
非常勤職員の流出問題・
総 務部長に対し2点再質問させて頂きます。まず、総務部長は非常勤職員の流出について一部とおっしゃいましたが、私は一部ではないと聞いております。確認の 意味を込めて質問いたしますが、現場では流出対策をしっかりとやって欲しいと強い要望がありますので、現場の声を聞いてしっかりとやって欲しいと思います が、いかがでしょうか。
そして、非常勤職員の賃金と特別区人事委員会の勧告をリンクさせる理由について法的根拠の部分の答弁漏れがあったと思いますので、その辺「ない」という認識でいいのか」的確にお答えいただきたいと思います。
再質問の答弁
【総務部長】
  非常勤職員の現状につきまして、現場の声を聞くようにということでございますので、これにつきましては十分そういったことを調査した上で、今後の対応方も 考えていきたいという風に思います。人事員勧告をなぜ非常勤職員に適応するのか、適応ということではありませんけれども参考にして決めているわけでござい ますが、基本的に公務員は民間準拠というのが基本的な考え方でございますので、公務員というのは何も一般職の公務員だけではないということで、我々の方は 参考にして決めさせていただいている。法的根拠というならば、それを規定している地方公務員法ということになります。